2015年6月26日金曜日

右翼・国粋主義が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)した時代。

「坂の上の雲」の著者 司馬遼太郎は「昭和ヒトケタから昭和20年の敗戦までの十数年は、ながい日本史のなかでもとくに非連続の時代だった」「あんな時代は日本ではない」と振り返っている。

「要するに日露戦争の勝利が、日本国と日本人を調子狂いにさせたとしか思えない」
日露戦争勝利までを描いた「坂の上の雲」を書いた司馬遼太郎が1986年当時、雑誌「文芸春秋」に連載した随筆のくだりで、今は文春文庫「この国のかたち 一」に収められている。

その「あとがき」で敗戦を軍隊で迎えた22歳の自分に手紙を書き送るようにして書いたとある。

1905年を近代日本のターニングポイントととらえた氏の指摘は、後にこれを読んだ若い研究者によってその背景をさぐる試み、著作も現れることとなる。

黒岩比佐子氏の「日露戦争 勝利のあとの誤算」もそのひとつ。

大声で声高に「日本精神」が叫ばれた時代は強権・弾圧の時代で、御用学者がはびこり、ほんとうの文化が痛めつけられた時代であった。

近代史を教育しようとの動きがあるが、過去を誠実に振り返る姿勢が欠かせないことはいうまでもない。

しかし、当時を美化・正当化する試み、流れは続いている。

多くの人が、戦争の実態や背景を知ることが肝要で、そのことが、百田尚樹などの妄言に惑わされない力になるだろう。


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