2009年6月25日木曜日

阿部 彩 著「子どもの貧困  日本の不公平を考える」を読む

 昨年11月に岩波新書で刊行された阿部 彩さんの「子どもの貧困」を読んだ。

 貧困が子どもの医療・教育をはじめあらゆる面で健全な成長を妨げ、その後の人生に大きく影を落とすものであること(例外はあるが、客観的に不利を背負うことは否定できない)。また日本の税制と社会保障が貧富の格差を縮めるどころか、逆に低所得層に負担が重く、給付が弱いため逆機能を果たしている。まさに政治(政策)の貧困が社会悪である貧困を増加させているという。

 子どもの貧困の放置は、その社会の水準を引き下げてしまうことなど、わかりやすく書いてある。

 諸外国と比べて、あまりに給付が少なく、負担が大きいため子どもの多い家庭で所得が十分でないと社会から袋叩きにされるという悲しむべき日本の現実を直視すること、その改善のために行動することを呼びかけている。

 多くの人に読まれるべき内容があると思った。

 日本という国は福祉の低水準のまま、高度成長をとげたが、今、深刻な不況で「すべり台」社会とも評される貧困の連鎖、貧困大国への道をすすんではならないと改めて強く感じた。

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