2016年12月23日付しんぶん赤旗の主張の記事内容を紹介します。
2017年度政府予算案
税の集め方、使い方の改革急務
安倍晋三政権が、一般会計で97兆4547億円に上る2017年度の政府当初予算案を決定しました。2016年度の第3次補正予算案とともに通常国会に提出します。安倍政権が政権に復帰して以来5度目の当初予算ですが、看板にしてきた経済政策「アベノミクス」が破綻して税収が伸び悩む中、軍事費の異常な突出と暮らしに関連した社会保障予算などの抑制が特徴です。国民の暮らしも経済もよくならず、「戦争する国」への暴走で平和が脅かされるばかりです。税金の「集め方」と「使い方」の抜本改革がいよいよ急務です。
「アベノミクス」が破綻し
4年前の2012年12月、政権に復帰した安倍政権は「経済再生」を最優先させると打ち出しました。しかし4年たったいま、異常な金融緩和や財政拡大、「規制緩和」による企業へのテコ入れを柱にした政策は、大企業や大資産家の懐を豊かにしただけで国民の所得や消費拡大に結びつかず、14年4月に消費税を増税したこともあって、経済の6割を占める消費の低迷が続いています。税収も伸び悩み、16年度第3次補正予算案で歳入を1・7兆円も下方修正して国債を増発したのも、「アベノミクス」の破綻を浮き彫りにしています。税収の伸び悩みで、税金で政策支出を賄う基礎的財政収支は2017年度悪化する見込みです。
税金は本来、負担能力のある大企業や大資産家に応分に負担してもらうのが原則です。ところが安倍政権は大もうけした大企業に負担を求めるどころか庶民に増税し、「企業が最も活躍しやすい国」を目指すと法人税などの減税を繰り返してきました。税金の「集め方」が根本から間違っています。
「アベノミクス」が破綻した安倍政権は2015年10月に予定した消費税の再増税を2回にわたって延期しました。その結果、2016年度も2017年度も予定した「低年金対策」などを延期しなければならなくなったのは、消費税に頼った税制の破綻です。税金の「集め方」の改革は、待ったなしです。
安倍政権は税金の「使い方」の面でも財政のあるべき姿を破壊しています。財政は国民の税金で国の仕事を賄うとともに、金持ちだけが潤って格差と貧困が拡大しないよう、社会保障などで所得を再分配するものです。ところが安倍政権になって軍事費は5年連続で増え続け、当初予算で過去最大の5兆1千億円台に達したのに、社会保障予算は自然増さえ賄おうとせず2017年度は概算要求からさえ1400億円も削減しました。医療も介護も年金も改悪の連続です。
これでは国民本位の財政などとは言えません。税金の「集め方」と「使い方」の改革が不可欠です。
「大砲よりもバター」を
「大砲よりもバターを」という言葉がありますが、実は1930年代、ドイツでナチスが大軍拡を進めたときのスローガンは全く逆に「バターより大砲」でした。異常な大軍拡のあげくドイツが亡国の道を突き進んだのは有名です。
安倍政権の大軍拡で日本の軍事費はすでに世界有数の水準で、一方、社会保障の公的支出はドイツやフランスの7、8割、教育への公的支出は経済協力開発機構(OECD)の33カ国中32位です。安倍政権は歴史の誤りをたどるのか―。税金を暮らしに役立てる転換がいよいよ求められます。
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