禧久孝一(きく こういち)著 奄美の「借金解決」係長 (光文社 今年11月25日発行 1300円税込)を読み始めた。
禧久さんはNHK、朝日新聞でも紹介された、奄美市の市民生活係長。
市役所職員として、市民の借金、離婚、相続問題など全般的な生活相談にあたられているほか、勤務時間以外にも市民の相談はもちろん、全国の人からの相談を受けておられるという。
同氏も「私自身、今の仕事に取り組む以前は、多重債務者というのは金銭感覚がなく、無計画にお金を使う浪費家だろうと、漠然と考えていた。しかし現実はまったく違う。そういう人はむしろ少数派で大半の人たちがまじめな方だ」と20年、6000件を超えるの生活相談の経験から書かれている。
借金というと、ギャンブルで身を持ち崩した人を連想するかもしれないが、国民生活センターの平成17年の調査でも12~13パーセント(弁護士事務所・司法書士事務所の協力での調査)だったと書かれている。
何より、「多重債務者こそ、被害者」という視点は的を射ている。大銀行とサラ金の関係などをわかりやすく説明しているうえ、具体的な相談の経験が説得力をもっている。
司法空白地域(弁護士などの法律の専門家がいない)の奄美大島で20年前から多重債務の解決だけでなく生活再建への相談にも親身にのるという姿勢と実践に多くを学びたい。
なにより、適切な相談窓口にたどりつくのは、多重債務者の約2割ということが本書でも指摘されている。借金苦の人がさらに悪質な貸金業者の餌食(えじき)になるパターンも紹介されている。
不況がローンを抱える人には特にきびしくのしかかる。
だからこそ、こうした実態の改善が急がれる。
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